2012年10月14日

自分を捨てる

産経新聞に月一度掲載される裏千家前家元、千玄室氏のコラム「一服どうぞ」、今日の主題は今の政界の有り様への批判ですが、その中に興味深い挿話がありました。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121014/stt12101403020000-n1.htm

『孟子が教えた中に「窮すれば即(すなわ)ち独り其(そ)の身を善くし、達すれば即ち兼ねて天下を善くす」がある。これは身を窮地におかないと善など行えるものではない。自分自身を捨て無の境地になってこそ、真の針路が定まり、世の中を善くすることができる、ということであろう。「自らを捨てる」。これは決して遊びごとではない。私利私欲が人間本来の姿であるがこれを捨てて初めて裸の人間になれる。裸の人間の魂が人のために生かされていく、と私は師の後藤瑞巌老師から訓育された。なかなかできるものではない。』

これほど立派ではありませんが、いや月とスッポン、引き合いに出すのはおこがましいほどですが、僕も「自らを捨てる」心境になったことがあります。

それは去年の震災のあと。何も悪いことをしていない普通の人々が、ある日突然何万人も死んでいったのを見たこと。そして、予定していた仕事が飛びまくって、「こりゃ〜えらいことになった・・・」という危機感。

たぶんそれまでだったら危機感だけで終わっていたのでしょうけど、普通の人が簡単に死んでしまう現実を見ていたせいか、ふっと「自分のことは、もうどうでもいいや。自分を捨てよう。自分のわずかな能力が人の役に立つのなら、何でもやろう。それでいいじゃないか」と、なぜか思ったのです。それからね、何かがちょっと変わりました。運気の流れとか出逢いとかが。

でも、ちょっと良いことが続くと調子に乗って欲が出てしまうので、時々思い出しては初心に返る。力を抜くと、ストレスに捕まっていた身体が楽になります。

先日ここに書いた司馬遼太郎「みょうが斎の武術」、みょうが斎の「理想というものを持ちたがるから人間世界は住みにくい」という言葉が印象に残ったのも、本質的に同じ意味を感じていたからかもしれません。
posted by 曲屋 at 23:21| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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